ドイツ編1(5月15日〜19日)

  

アムステルダムの駅を14時13分に発車した列車は、一路ドイツに向かった。私のコンパートメントには中年のドイツ人夫婦が乗っていた。「ドイツ人か?」と尋ねた私に、英語の分かる男性は「ババリア人だ」と答えた。

(このページから「です、ます」調をやめます。私には似合いません)

旅の話などしている内にドイツの国境にさしかかった。オランダの税関に続いて厳つい顔のドイツの税関がやってきた。それまでは国境を越えるときでも、パスポートを見せるだけで良かったが、彼は私に荷物を出すように言った。      

リュックの中は良いから、ショルダーバックの中身を全部だし、隅から隅までゴミ一つ見逃さないそぶりで調べ、日本から持ってきた未開封の1カートンの煙草の箱を、「開けても良いか?」と聞く。中身が煙草だと判ると、それまでくすぐっても笑いそうもなかった彼は、なぜかにっこり笑って、次のコンパートメントに移っていった。

最初、ドイツでは具体的にどこで泊まろうという予定はなかった。ケルンの大寺院が夕景に影を映すのを見ながら、このままコブレンツまで行こうと思った。 

    

ユース発祥の地ドイツは規則にうるさいと聞いていたので、コブレンツの駅前からユースに向かうバスがなかなか来ないので気が気ではなかったが、2両連結の大きなバスで、ようやくユースのふもとまでたどり着いた。バスの中では親切な人が降りる駅を教えてくれた。下からユースに着くまでかなりの坂を汗をかきながらの上らなければならなかった。ここのユースは、古城を使った綺麗なところで眼下にはライン川が流れていた。

ただ、石造りのために夜が寒く、おまけに遠足で来たドイツ駐留米軍のガキどもが騒ぎまくって余り寝付けなかった。おかげで、翌日から風邪をひき、しばらくだるい毎日が続く事になった。

翌日は、ユースで徴兵を忌避して変わりにユースでボランティアをしている若者達と朝食の後片づけをして、彼らと一緒にライン川を渡し船でわたった。(船代、0.5DM=ドイツマルク)当時のレート、1DM=約150円

 

   

コブレンツからライン川に沿って列車でマインツに向かった。マインツに近づくと下校中の中高生が乗り込んできた。さすがにこの日は歩くのがしんどいので、駅前の「ホテル・アイゼンバーグ」の一番安い最上階の部屋を取った。

このホテルはエレベーターがなく、7階まで歩いて登らなければいけない事をのぞけば最高であった。とくにみんな親切な人ばかりであった。このホテルに関してだけでも、かなりのスペースがいるので省くが、バーちゃんもおっさんもとにかくいい人だった。2泊した後、出るときにはクリスマスカードを送るから日本の住所を教えてくれといい、私が感謝の気持ちで日本の絵葉書をプレゼントしたら、お返しにマインツの紋章のはいったコップをもらった。ここは貧乏旅行者には結構有名なホテルらしく、食堂の壁に慶応大学のなんとかクラブの旗などが貼ってあった。

ここでおっさんに助けてもらって、船便でよけいな荷物を日本に送り返した。郵便局でも知らない人小母さんに助けてもらった。

ホテルのおっさんに「この男は日本に荷物を送るのだが、助けてやってくれ」と言うようなメモをもらっていたのだが、差出人の住所を書類に書くときに、とまどっていたら知らないおばさんが、どこに泊まっているのか聞いて、そのメモを見せると、自分で何か書いて、「これで良いわよ」と郵便局の職員に書類を出してくれた。

     

  

身体も何とか元気になり、(日本から持参した風邪薬がきいたのか)翌日は近郊の、ハイデルベルグに列車で出かけ、一日を過ごした。

駅から、古城までは少し距離があったが、とにかく安く上げるために、歩き回った。支出に関しては細かくメモを取っていたが、ちょっと今それがないので、はっきりしたことは思い出せないが、ユースでだいたい1泊5〜600円前後、安いホテルで2000円くらいであったように思う。

 

ドイツでは、買い物は「カウホフ」と言うところによく行った。(スーパーなのかデパートなのかよくわからなかったが、いろいろなところで見かけた)このとき買って帰った双子のマークのゾリンゲンの包丁は、今までも使っている。買い物は土産店よりデパートが安い。

若い頃はパリに住んでいたと言っていた、ホテルのバーちゃんはもう寿命が来ているかもしれない。孫が女の子ばかりで、息子が寂しがっているというような事を言っていたが。その息子ももうかなりの年だろう。まだホテルは続けているのだろうか。又、来いと言われたが……。

とにかく、わずか2泊ではあったが、マインツの思い出は印象に残っている。

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